私が赴任した平成一七年度の生物部の活動は、二羽のウサギ、二〇匹以上のウーパールーパー、そして金魚の世話をすることだった。
その中でもウサギとウーパールーパーに重点が置かれていて、完璧とは言えないまでも生物部員はきちんと世話をし続けた。
しかし、しっかりと手をかけていても、いつまでも変わらずに生かし続けることは不可能である。
ウサギは平成一八年の夏休み中に二羽とも死んでしまい、ウーパールーパーも最終的には二匹のみが生き残ったに過ぎなかった。
ウサギは一〇年以上都大附にいたようであり、私が赴任してきたときにはいつ死んでも仕方がないと感じていたので、寿命が尽きたのでだろう。
ウーパールーパーについては、環境の変化が大きかったように思う。
平成一七年一一月にプレハブの校舎から新装なった現校舎へ移ると、生物室の日当たりや明るさがかなり違っていたのである。
ウサギが死んだ後はモルモットと飼ったこともあるが、それも二年経たないうちに死んでしまい、結局私が赴任してから部員がずっと飼い続けたのはウーパールーパーと金魚だけだった。
生物部員は他の部と兼部していて、まとまりのある活動はしにくかった。
それでも、世話をする生徒が集まったときには、生物室や生物準備室での話に花が咲くこともあった。
生物準備室や生物室は教室に近く、部員以外の生徒も結構出入りし、そんな中で部員の友達の輪も広がっていった。活動内容は生物の世話をするだけだとしても、生き物を飼うことで心が和まされていたと思う。生物が死んだときには部員みんなで埋葬しに行った。
飼っていた生物の死と向き合って別れを告げることで、厳粛な気持ちにもさせられたはずである。
そんな部員たちの隠れた一面を見ることができた五年間であった。