「ウンギャー!ウンギャー!」
一九八八年五月。私達夫婦に長男が誕生した。
私達夫婦は二人とも都高に通い、高校二年の時に第三〇回記念祭執行部に立候補し、知り合い、結婚。
今年で付き合い始めて丸一〇年である。
私たちが高校一年の時、二九期生の先輩たちが一度廃止されたファイヤーを復活させようと校庭のゴミ拾いをしたり、先生達との談判を続けついに再びファイヤーに火をつけた。
私達もその後を継ぎファイヤーをやろうと活動していた。
が、執行部室の中央にまとめて置いていた机を周囲の壁に全部つけ、部屋に入ると背中に向けられていて冷たい感じがすると言われたり、誰かが部屋の中央にゴザをしいて寝ていたりで先輩方にとっていわゆる新人類であったように思う。
ところが、そのファイヤーや労働歌・反戦歌も二年後にはなくなって、フォークダンスに変わってしまったのである。
今現在、私達と同世代を含め、どのくらいの人々が反戦歌や労働歌を歌えるだろう。
いわんや誰が六〇年安保の事を話すことが出来るのだろう。
年々こうした都高における昔からの伝統や行事はその時代の流れや人々の思想から忘れられ、次々新しいものに代わっていく。
私達もその変革にたずさわっているも確かだからである。
新人類という言葉が現れて久しいが、今では初代新人類と呼ばれた人々も驚かしてしまう、超新人類も現れてきているようである。
今私の隣でスヤスヤと眠っている我が子をながめ、この子達の時代にはいったい何人類が現れるのだろうと考えてしまう昨今である。