都立大学附属高等学校が、東京都立新制高等学校として出発したのは昭和23年のことで、それから数えると昨年ですでに満25周年を経過している。
その四半世紀のむこうにはまた20年の旧制高校時代の歴史が重なっている。
このキャンパスで時の流れとともにすごして来た本校が、それなりに時代の影響をうけざるを得なかったことを回想しないわけにはいかない。
旧制の七年制高校から、今や学校群のなかの一高校となるに至った歩みが、これからの本校の向う方向をまた示唆しているのであろうか。
あたかも都立大学では、ようやく移転の問題がとりあげられようとしている。
附属性を強め、大学との共存共栄をはかろうとして来た本校が、今後はたしてどうなるのか。
ことに本校の教職員は真剣にとりくまなければならぬ問題であろう。
古い、それなりに趣のあった木造校舎が一掃されて、新しい鉄筋の建物に全てが生れかわった。
そうしたなかで本校が今後更に発展し得るかどうかは、われわれ教職員の姿勢につながるところが大きいといえよう。
「教職員の研究活動の発展によって、その知性的指導力を高め、教育内容の充実を図る。」とは本校教育目標の最後にかかげられているところだが、今回、”紀要”の誕生を迎えたことは、従ってむしろおそきに失したといえよう。
今後もこうした研究交流の場を更に拡充して、われわれお互いの資質をみがきながら、生徒諸君の期待にこたえられるようつとめて行きたいものである。